~ある調剤薬局での患者さまと薬剤師の会話~

 

薬剤師 「こんにちは、今日はどうされましたか?」

患者様 「1週間前から鼻水が止まらないんです。」

薬剤師 「そうですか。それは大変ですね。もともとアレルギーをお持ちなんですか?」

患者様 「いやアレルギーはないです。花粉症とかハウスダストはありますけど。」

薬剤師 「?」

「そうなんですね。分かりました。」

「今日は、お薬が4種類出ています。ナイフクが2種類とガイヨウが2種類です。」

患者様 「・・・はい」

薬剤師 「一つ目は、アレルギーのお薬です。ビジュウやくしゃみ・かゆみにサヨウします。1日1回シュウシンマエに1錠おのみください。もう一つは、ビヘイを抑えてくれるお薬です。ビクウナイネンマクエンショウを鎮め、鼻の通りをイゼンします。漢方薬ですので1日3回マイショクカンイッポウずつおのみください。」

患者様 「? はい・・・、(でも私アレルギーはないのに・・・)」

薬剤師 「このテンビは、ステロイドがハイゴウされています。エンショウを鎮めて鼻水や鼻詰まりをケイゲンしてくれますから、毎日、シュウシンマエに2フンムずつお使いください。」

患者様 「・・・わかりました・・・」

薬剤師 「最後にテンガンですが、こちらは、1日4回使用してください。軽ければトンヨウしてもよいと医師からの指示がありますので、調節なさっても結構です。このテンガンヤクは、ジョウオンホカンして下さい。」

患者様 「??? は・・・い・・・」


どこかで聞いたことのある、よくあるトウヤク風景だと思います。

薬剤師や医療事務が、当たり前のように普段使っている用語のうち、患者様にはいったいどれくらい伝わっているのでしょうか?以前何かの医療雑誌で分かりにくい用語ランキングというものがありました。上の例はその上位に出ていたものです。

このページに取り上げている用語は、その中でも非常に簡単な用語ばかりです。

薬局でお薬をもらったとき説明を受けたけど、あの薬剤師さんの言葉の意味はなんじゃったかいね~というときにちょっと確認してみてください。

くすりの用語集(基礎編)

         

用語 読み 意味
アレルギー アレルギー からだがある物質に過敏に反応してしまう状態のこと。花粉症は花粉に対するアレルギー、ハウスダストで鼻水や鼻づまりなどを起こす場合はハウスダストに対するアレルギー、エビやカニ・小麦やそばなどを食べて発疹が出たりショックを起こしたりするのは食物アレルギー。その他、ぜんそく・アトピー・薬の副作用による発疹などもアレルギーです。
一包 イッポウ 粉薬や錠剤・カプセルをまとめたものの一袋のことです。
 一包化 イッポウカ ヒート包装になっている錠剤やカプセルなどをその包装から取り出して、朝食後、昼食後、夕食後、などの飲む時に合わせてのむ錠剤を一つつみの包装にまとめてしまうことです。
炎症 エンショウ 体の中に細菌やその他の微生物が入ってきたり、打撃やひっかき、薬品などの刺激を受けて、体の一部分または全身に熱を持ったり、赤くはれたり、痛みを感じたりすることです。たとえば、ぜんそくは気管支の炎症が原因とされ、鼻炎も鼻の内部の炎症が原因とされており、その炎症を和らげる目的でお薬が使われます。
改善 カイゼン 病気や症状がよくなってくることです。
外用薬 ガイヨウヤク 皮膚や粘膜などに使う薬。のみぐすり以外のもの(注射は除く)。うがい薬、湿布、目薬、軟膏・クリーム、吸入、トローチなどがこれにあたります。
吸入薬 キュウニュウヤク 咳やぜんそくに使用されるお薬で、口から吸気(吸う息)とともにお薬を吸い込むもの。液体を霧状に噴霧するタイプと少量の粉を吸い込むものとがあります。空気の通り道である気管支に直接お薬が届きます。血液の中にはほとんど入り込まないので全身の副作用が少なくすみます。使用方法はこちらからどうぞ。
軽減 ケイゲン 症状の負担や苦痛を減らして軽くすること、または減って軽くなることです。
後発品 コウハツヒン 先発品(新たに開発され、初めて発売された薬)と同じ成分で同じ効果だが、先発品よりも安く提供される医薬品のことです。ジェネリック医薬品とも言います。国民医療費の削減や患者負担の軽減に貢献するものとされています。先発品は一定期間(約20年)は特許などで保護されているため独占的に販売できますが、特許が切れると他の医薬品メーカーが後発医薬品として、より低価格で製造できるようになるます。もちろん、先発品と同様の効果があることを証明しなければ、厚生労働省から認められません。
作用 サヨウ くすりが効く、またはくすりで体の状態が変化することです。
散剤 サンザイ 粉薬のことです。
ジェネリック ジェネリック 後発医薬品のことです。
就寝前 シュウシンマエ 布団に入る直前のことです。ただし、就寝前にのむことになっている薬でも夕食後にのんでいい薬もありますので、寝る前にのむ薬はよく忘れるという方は、医師・薬剤師に相談してみてください。
常温 ジョウオン 15℃~25℃です。常温保管の薬は、夏場は冷蔵庫に保管した方がいいかもしれません。
食間 ショッカン 食事を食べ終えてから約2時間くらい経った後のことです。空腹時という意味合いが大きいです。
食後 ショクゴ 食事のあと30分以内。胃の中にまだ食べたものが残っている間です。薬によっては、胃に負担をかけないために必ず食後にのまないといけないものもありますが、多くのお薬が食事をしなくてのめる場合があります。食事が不規則で薬を食後にのめないという方は、かかりつけの医師・薬剤師にご相談ください。
食前 ショクゼン 食事を始める30分くらい前です。できれば空腹の方がいいです。必ず食前にのまないといけない薬も多いのでできれば、食前の指示は守った方がいいです。ただ、食前の薬はのみ忘れが多いのも事実です。漢方薬などは食後でも問題ないものもありますので食前がどうしても忘れてしまうという方は、かかりつけの医師・薬剤師にご相談ください。
水剤 スイザイ シロップなどの液体のお薬のことです。
先発品 センパツヒン 長い年月をかけて新たに開発され、同じ成分の中で一番初めに発売された医薬品のことです。20~25年は特許などがあるため、独占的に原則一つの製薬メーカーだけが販売できますが、特許が切れると同じ成分で開発費のかかっていない安価な後発品(ジェネリック医薬品)を発売することができます。
貼付 チョウフ 湿布やシールなどを貼り付けて使うことです。
点眼薬 テンガンヤク 目薬のことです。
点耳薬 テンジヤク 耳の中の治療に使われる薬で容器は目薬とほぼ同じです。主に外耳炎、中耳炎に使われます。目薬と違って耳浴という耳に入れたお薬をしばらくそのままにしておく(漬け置きのようなイメージ)操作が必要な場合もあります。
点鼻薬 テンビヤク 鼻水や鼻炎の治療に使われる薬で鼻の中に直接お薬を噴霧するもの。液体のものと粉のものがあり、今までは液体のものが主流でしたが、液だれしにくいということで最近は粉のものもよく使われるようになっています。使用方法はこちらからどうぞ。
投薬 トウヤク 医師が患者様のために、症状や病気に応じた薬を処方して与えることです。調剤薬局では、調剤した薬を薬剤師がお渡し口で患者様に薬の説明をしてお渡しする行為のことをこう呼びます。
塗擦 トサツ 塗り薬を軽くすり込むように塗ることです。皮膚の内部に疾患がある場合には塗擦することが多いです。保湿剤や筋肉痛などに使う痛みどめの軟膏などに多い塗り方です。
塗布 トフ 塗り薬を薄く塗り広げることです。擦り込む必要はありません。皮膚の表面に疾患がある場合には塗布することが多いです。ステロイドの軟膏やクリームに多い塗り方です。塗布する薬を塗擦することで、炎症が悪化することもあるので要注意です。
屯用 トンヨウ 痛いときや吐き気がするとき、めまいがするときなどある症状が出たときに必要な量を飲んだり使ったりすることです。症状がなければ、のんだり使ったりしなくてもよいという意味もあります。
内服薬  ナイフクヤク のみぐすりのことです。錠剤やカプセル、粉、シロップなどいろいろな形があります。
粘膜 ネンマク 鼻の内側や口の中、目などいつも湿っている部分のことです。湿り気の正体は粘液という物質で乾燥を防いだり、外からの刺激から保護するなどの役目があります。
配合 ハイゴウ 2種類以上のお薬が組み合わされていることです。基本的に医療用の薬は一つの薬の中に一つの成分しか入っていないですが、中には2つ以上の成分が組み合わされた配合錠・配合顆粒などがあります。
パップ剤 パップザイ 湿布として用いられる外用剤のことです。貼付面が白い泥状にになっており、冷湿布の場合、貼った瞬間冷たく感じることがあります。湿布には他にテープ剤もあります。
鼻汁 ビジュウ 鼻水のことです。
鼻閉 ビヘイ 鼻づまりのことです。
服用 フクヨウ 薬をのむことです。
分包品 ブンポウヒン あらかじめ製造メーカーが粉薬などを一定量ずつ個包装に分けて提供している薬のことです。1包みあたり0.5g、1gなど薬によってさまざまな分包品があります。
噴霧 フンム 液体を霧状にして吹き出させることです。特に点鼻薬の使い方でよく使われます。
薬袋 ヤクタイ 薬が入っている袋のことです。紙の袋が一般的ですが、ユニパックなどに入れる場合もあります。薬袋には、患者様のお名前や薬の使い方など大切なことが書いてあるので、薬がなくなるまで保管しておいてください。
用法 ヨウホウ 薬ののみ方、使い方のことです。「1日3回毎食後」、「1日2~3回点眼」、「痛いときだけ」のような使われ方をします。
用量 ヨウリョウ 薬の飲むべき、または用いるべき分量のことです。特に、1回ないし1日の使用分量という意味でつかわれることが多いです。「1回に1錠」「1回に2吸入」「1日に3個」のような使われ方をします。

竹村 勝樹

くるみ薬局の薬剤師。蟹座のA型。奈良県出身ですが、今は山口県光市で妻と子供3人と猫2匹に囲まれながら暮らしています。趣味は読書と読書で得た知識をもとにアイデアを考えること。薬局らしくない薬局をモットーにこれからも地域の皆様に愛される薬局を目指して頑張ります。