小さなお子さんにお薬を飲ませる時、苦労されているお母さんは多いのではないでしょうか?

ある調査によると、きちんと「指示通り服用」できているお子さんは、なんと約55%だそうです。

服用できない理由の第1位は単なる飲み忘れ(35%)ですが、それと同じくらい多かったのが「子供が薬を嫌がった」(34%)です。

 飲み忘れはなんとかなりそうですが、嫌がる子供に薬を飲んでもらうのは、そう簡単には改善できません。

嫌がる理由は様々ですし、お子さんの性格によっても異なります。今まで何百人とお薬の相談を受けましたが、「この方法なら必ず飲んでくれる」ような魔法の方法は、残念ながら今のところ見つかっていません。

年齢別オススメ服薬方法

 「子供」と一言で言っても、その発育スピードは急激ですから、1歳違えば、体重や身長だけでなく、味覚や飲み込む力、理解力などの能力も全く異なります。

そこで、小児患者を

  1. 比較的素直に飲んでくれる「新生児〜乳児」
  2. 薬をひどく嫌がることが多い「1歳前後〜3歳(いわゆる魔の2歳児)
  3. 薬のことを納得できれば我慢して飲める「4歳以上」

の3つの時期に分けて考えてみましょう。

新生児〜乳児

 この時期は、本能的になんでも飲み込もうとするため、スムーズに飲んでくれることが多い時期です。小さじ2分の1杯(2.5cc)程度の少量の水でお薬を溶かし、スポイトを使って横抱きで少しずつ飲ませるのがオススメです。

 ただし、溶かしたお薬をスポイトで一気に飲ませると、量が多くて吐き出してしまったり、むせてしまうことがあります。

そこで、「スポイトの目盛りで0.5ml口に入れて、一度スポイトを口から出す」→「10秒間待つ」→「再度スポイトを口の中に入れて、スポイトを口から出す」を繰り返すことで、吐き出すことができなくなります。

また、この時期のお子さんは、泣いている時にお薬を飲ませるのもやむをえません。

ただ、泣いているお子さんの口は大きく開いていて、スポイトを入れやすいですし、大声を出しているので、お薬を少しずつ入れると自然と薬液が喉に入っていきます。

むせないように気を付ければ、飲ませても問題はありませんよ。

しかし、この方法が通用するのは1歳半くらいまでです。

お薬団子

 1歳が近づいてきたら粉薬に水を加え、 ペースト状にして、頬の内側や上顎に塗る「お薬団子」もオススメです。

あなたも挑戦したことがあるかもしれませんが、この「お薬団子」、意外と難しいんです。水が少ないとざらざらした粉が残りますし、多すぎるとべちゃべちゃして逆に飲ませにくくなってしまいます。

コツは水を1滴ずつ垂らしては混ぜる、垂らしては混ぜるを繰り返すこと。

粉薬によってお薬団子を作るために必要な水の量が違いますが、だいたい粉薬1gあたり0.2ml〜0.4mlだと、うまくお団子になってくれます。

1歳前後〜3歳

 この時期は味覚が発達し、自我が芽生えてきます。

そこに第一次反抗期も重なり、薬を嫌がる傾向が出てきます。

お薬は本来、水と一緒に飲むのがベストですが、それがどうしても難しい時は、少量の食品と混ぜてもらうと飲めることがあります。

特に苦味の強いお薬は、その味を隠すためにも食品に混ぜた方が良い場合もありますね。

お子さんへの粉薬の飲ませ方のページはこちら

 そして、もし飲めなくても極力叱らず、反対に少しでも飲めた時は、大袈裟なくらい褒めてあげることも大事です。

 この時期のお子さんにとっては、薬を飲むということを学ぶための大切な時期でもあります。何度も失敗しながら親子で成長していけば、必ずお薬を飲める時がやってきますよ。

4歳以上

 大人の話が十分に理解できるこの時期になると自尊心も育ってきています。

何かに混ぜたり、ごまかしたりというよりは、お薬を飲む必要性を理解させ、自ら飲もうとする気持ちを引き出していく必要があります。

2018年4月号のくるみ便りでも紹介した「おとな飲み」を試してみたり、口の中で溶ける錠剤に挑戦してみるなど、お子さんの意思も尊重しながら薬の形や飲み方を決めていきましょう。

くるみ便りより

限定コンテンツから、「粉薬の飲ませ方」や「お薬団子の作り方」などのコンテンツがダウンロードできます!(パスワードはくるみ便りを参照してください)


竹村 勝樹

くるみ薬局の薬剤師。蟹座のA型。奈良県出身ですが、今は山口県光市で妻と子供3人と猫2匹に囲まれながら暮らしています。趣味は読書と読書で得た知識をもとにアイデアを考えること。薬局らしくない薬局をモットーにこれからも地域の皆様に愛される薬局を目指して頑張ります。