スキンケアが将来のアレルギーを防ぐ

僕たちの体には、もともと細菌やウイルスなどの外敵をやっつけて排除しようとする免疫の仕組みが備わっています。

アレルギーは、この免疫機能が食べ物や花粉など本来は無害なものに対しても過剰に反応してしまうことで起こる病気です。

2020年の日本では、なんと2人に1人がなんらかのアレルギーを持っていて、その数は年々増加しています。

その背景に、食の欧米化、大気汚染、住宅の気密化などのライフスタイルの変化があるとされています。

また、過度な衛生環境の整備もアレルギー疾患を増やす原因として挙げられることもあります。

なんとなく心当たりがありますね。

アレルギーのメカニズム

このアレルギー、実は相当厄介で、現在でもまだ分からないことだらけです。

ですが、そんな中、様々な研究が進み、徐々にそのメカニズムは解明されてきています。

食品、花粉、ホコリなどのアレルギーを引き起こす「アレルゲン」が体に侵入すると、免疫細胞がこれを異物と認識し、アレルゲンに対抗するIgE抗体という物質が、作り出されます。

IgE抗体は、粘膜や皮膚などに存在するマスト細胞(肥満細胞)に結合します。IgE抗体は、アレルゲンが体に侵入するたびに増え続け、ある量を超えるとマスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンといった化学物質が放出され、炎症などの症状が出てしまいます。

この一連の流れを「感作」と呼び、いったんこの感作が成立してしまうと、その後アレルゲンが体に侵入するたびにアレルギー症状が引き起こされてしまいます。

アレルギーマーチ

もともとアレルギーの素因(家族歴など)を持っている乳児が、成長によって発症しやすいアレルギー疾患が変化していく現象を『アレルギーマーチ』と言います。 

日本の小児科医が、行進(マーチ)のように次々と症状が現れることに由来して初めて提唱した概念で、今では、世界中で受け入れられています。

少し前までは、アレルギーは食物を摂取し、腸からアレルゲンが吸収されることで感作が成立する「腸管感作」が主体と考えられていました。

ですが、近年の研究結果では、スキンケア不足による皮膚の乾燥・湿疹やアトピー性皮膚炎による『経皮感作』により食物アレルギーが進行するということが分かってきました。

具体的には、アトピー性皮膚炎・乳児湿疹の子供の3分の1に気管支喘息が、そしてその半数にアレルギーマーチが続発すると考えられています。

特に、

①アトピー性皮膚炎の乳幼児早期発症、
②重症で持続性がある、
③アレルギー疾患の家族歴などの素因がある

とアレルギーマーチが発症しやすくなります。

近年、小児のアレルギー疾患が増加する中で、この『アレルギーマーチ』の発症、進展を予防することが重要な課題となっています。

アレルギーマーチを予防するには

例えば、アトピー性皮膚炎があると、アレルギー性鼻炎や喘息は2~3倍、食物アレルギーは6倍ものリスクがあります。

2014年、国立成育医療研究センターから、新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下することが報告されました。

つまり、生まれてすぐからスキンケアを続けて、皮膚バリア機能を維持することにより、アレルギーマーチをかなり予防できるようです。

また、最近始める方が増えている舌下免疫療法で小児のアレルギー性鼻炎を早くからコントロールすることが、アレルギーマーチの進行を止める可能性があるという話題にも注目したいところです。

くるみ便りより


竹村 勝樹

くるみ薬局の薬剤師。昭和49年7月18日生まれ。蟹座のA型。奈良県出身ですが、今は山口県光市で妻と子供3人と猫2匹に囲まれながら暮らしています。趣味は読書と読書で得た知識をもとにアイデアを考えること。薬局らしくない薬局をモットーにこれからも地域の皆様に愛される薬局を目指して頑張ります。