災害時に備えるお薬手帳
9月1日は防災の日
1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災と、9月1日は暦の上で台風の多い二百十日にあたることなどに由来しています。
政府や地方公共団体をはじめ、国民一人一人が災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備することを目的として制定されました。
最近では、6月末から7月にかけて発生した各地の豪雨災害や、台風による災害が記憶に新しいですが、自然災害が多い日本では、地震、津波、台風、大雨、噴火、大雪などによる災害が度々発生しています。
いつ起こるか分からない災害に備えて、防災グッズを準備している方も多いと思います。
その中でも今月は、災害時に困らないためのお薬手帳の活用方法についてご紹介します。
今更ですが…「お薬手帳」とは
お薬手帳は、いつ、どこで、どんな薬を処方してもらったのかを記録するためのものです。また、ご自身でも過去にかかった病気、アレルギー歴、副作用、飲んでいるOTC医薬品やサプリメントなどを記入できます。
その情報をもとに、医師、歯科医師、薬剤師が薬を安全・適正に処方、調剤することができます。
お薬手帳には、紙の手帳と、スマートフォンなどで薬の情報を管理できる「電子お薬手帳」があります。
お薬手帳の電子化が進んだきっかけは、2011年の東日本大震災でした。
薬を必要としていた避難者のうち、お薬手帳を持っていた方には薬をスムーズに処方できましたが、手帳が手元にない方々の薬の特定は難しかったそうです。(例えば、「糖尿病の薬」と言っても、効き方が違う薬が何種類もあります。)
そこで、避難時に多くの方が持っていた携帯電話やスマートフォンにお薬の情報を入れられれば、災害時なども安心なのではないかということから、お薬手帳の電子化が進みました。
災害が発生すると
避難時に自宅から薬を持ち出せなかったり、自宅以外で被災したり、遠方に避難したり、かかりつけの病院や薬局が被災して受診できなくなったりして、いつもの薬が飲めなくなることが考えられます。
糖尿病、高血圧、心臓病などの慢性疾患で薬が必要な方は、薬が足りなくなると命に関わることがあります。いつも飲んでいる薬は最低3日分、できれば7日分を非常用に備えておくと安心です。食品のローリングストックのように、新しい薬と非常用の薬を取り換えながら保管しましょう。
本来は、処方箋がないと薬局で薬を受け取ることができません。
しかし2016年の熊本地震をきっかけに、災害時、お薬手帳や薬の包装等により持病の薬であることが明らかな場合、後で処方箋を書いてもらうことを条件に、処方箋がなくても薬局で薬剤師から薬を受け取れるようになりました。(薬剤師に主治医と連絡を取ってもらい、処方内容を確認するのが原則です。)
災害による健康被害を最小限にするために
- お薬手帳を普段から持ち歩く(電子お薬手帳もおすすめです。)
- すぐに持ち出せる所に置いておく
- お薬手帳のコピーを防災グッズと一緒に保管しておく
- 保管場所を家族に知らせておく
- お薬手帳のコピーを家族に預ける
- 手帳の内容や薬を携帯電話やスマートフォン
- のカメラで撮影して保存しておく
複数の場所に保管することをおすすめします。コピーや画像の情報は、定期的に更新しておきましょう。
もしものときのために、自分に合った災害の備えをすることが大切です。