シリーズ 薬に頼りすぎない生活を目指して
第4回 私たちの健康を守ってくれる野菜や果物
令和3年に厚生労働省から発表された資料によると日本人の女性の平均寿命は87.74歳で世界一、男性は81.64歳で過去最高だそうです。
ちなみに僕が生まれた昭和49年(1974年)頃の平均寿命は、女性が76.31歳で男性が71.16歳ですから、約50年の間に男女とも平均寿命が10歳延びたことになります。
最近では、平均寿命とともに健康寿命が大切だと言われています。今回は、私たちの健康を守ってくれる身近な存在の野菜や果物に注目しようと思います。
「赤くなると、医者が青くなる」
この諺を聞いたことがある方も多いかもしれませんね。
この植物が赤く熟する頃は天候が良いので体調を崩す人が減るのと、栄養いっぱいのこの植物を食べることで健康な人が増え、医者にかかる人が減ってしまうという意味の昔の諺です。
さて、その植物とは何でしょうか?それはトマトと柿です。
まず、トマトが健康に良いと言われるのは2つの成分が含まれているからです。
それらは、カロテンとリコペン(リコピン)という色素。
これらの色素は”抗酸化物質”で、老化やがん、動脈硬化などの原因となる有害な活性酸素を除去する力を持っています。
また、トマトには胃壁の修復効果があるビタミンUや便秘を改善するペクチンも含まれていて、「トマトのある家には、胃病なし」と言われるほどです。
柿は、抗酸化物質であるビタミンCを多く含み、その量はビタミンCの王様と呼ばれるイチゴに匹敵します。
他にも柿の黄色の元になっているカロテンとβクリプトキサンチン、渋み成分のタンニンも抗酸化力を持っており、最近では、糖尿病の予防効果も期待されています。
柿は昔から二日酔いに効果があると言われていますが、それは、カリウムを多く含むからで、カリウムの利尿効果によって、アルコールが早く排泄されるからです。
「1日1個で、医者いらず」
英語の諺で「An apple a day keeps the doctor away」というのがあり、これは日本語で「1日1個のリンゴは、医者を遠ざける」と訳されます。
リンゴは、抗酸化物質であるポリフェノールを多く含み、老化や生活習慣病の原因となる活性酸素を除去してくれます。
また、柿と同様カリウムも豊富に含まれますので、体内の余分な塩分の排出を促すことで、血圧を下げる効果があるとも言われています。
皮の近くには食物繊維であるペクチンが含まれていて、腸の調子を整え、便秘を予防してくれます。
果肉には、リンゴ酸という物質が豊富に含まれており、これには疲労回復効果があることが知られています。
栄養のことを考えると、よく洗ったリンゴを皮をむかずにかじりつくのが、一番おすすめです。
ちなみにリンゴをすりおろしても加熱しても、その栄養価はほとんど変わらないそうです。
「1日1個で医者いらず」と言われるものにもう一つ、玉ねぎがあります。
玉ねぎにはポリフェノールの一種であるケルセチンが含まれています。
ケルセチンには、①血流を改善する ②コレステロール値を下げる ③関節痛を和らげる ④動脈硬化を予防する ⑤むくみや冷えを改善する ⑥体脂肪を減らす ⑦骨粗鬆症を予防するなど、非常にたくさんの効果があると言われています。
玉ねぎを切ると涙が出ますが、それは催涙成分の硫化アリル(アリシン)が含まれているからです。
硫化アリルにも血液をサラサラにする効果があると言われています。
ただし、玉ねぎを生で食べすぎると下痢や腹痛、吐き気、頭痛などを引き起こしてしまうことがあるので、大人で1日50g、子供で1日25gぐらいを目安にしましょう。
「貧者の医者」
ヨーロッパではキャベツのことを「貧者の医者」というそうです。
いつも手頃な値段で手に入り、それでいてビタミンCやビタミンKを豊富に含み、健康に良いのがその理由だそうです。
あなたも聞き馴染みがあると思いますが、「キャベジン」はキャベツから発見された成分です。
キャベジンには抗潰瘍効果があり、ご存知の通り日本では胃薬として昔から販売されています。
キャベジンは、トマトにも含まれているビタミンUのことで、発見された当時は、動物が成長し、命を保つためには不可欠な物質のビタミンと考えられていたようです。
ですが、その後研究が進み、今ではビタミンから除外されています。
このように、植物の中には、私たちの健康を守ってくれる野菜や果物がたくさんあります。
健康に良いからといって、いつも同じものばかり食べすぎるのも良くないですが、バランスを考えながら、積極的に毎日の食生活に加えてみるといいかもしれませんね。
くるみ便りより